
JAバンクの「機能強化計画」についての取組状況(平成17年度上期までの取組)
1. これまでの取組状況(要約)
(1) 農業法人や一定規模以上の認定農業者など、中核的担い手に対する融資・相談機能を一層強化します。
「JAバンクの担い手金融強化に向けた取組み」を組織決定し、(1)経営コンサルティング機能の充実、(2)農業法人向け新資金「アグリビジネスローン」の推進、(3)アグリビジネス投資育成(株)の出資の積極的活用等を進めています。JAバンク内で担い手金融の窓口の明確化、緊密な情報交換・連携を行っていくため「担い手金融リーダー制度」を立ち上げ、JA・信連・農林中金での担い手金融リーダーの設置を進めております。
(2) 上記取組みの一環として、JA単独対応が困難な大・中規模農業法人等に対し、信連・農林中金が直接融資を行っていく体制を整備します。
農林中金にJAバンク担い手金融室を設置し、全国の農業法人等に直接融資を行う体制を整備しました。信連においても、農業融資の担当部署を設置するなど逐次体制整備を進めています。
(3) 担い手のニーズを踏まえた資金メニューの整備や、資金利用の円滑化等により農業金融機能を一層強化します。
「過度に担保・保証に依存しない運転資金等」を低利率で提供するため、農林中金で農業法人向けの新資金「アグリビジネスローン」を創設いたしました。県域においても新資金の創設を進めています。また、農業近代化資金の資金使途拡大要請等を行っています。
(4) 経営不振層に対し実態把握に基づいた再生支援を行います。
JAバンクでは、農業経営負担軽減資金について、平成16年度は206件(約32億円)、平成17年度は9月末現在で26件(197百万円)を対応し、経営不振層の再生支援を行っております。
また、農水省等と農業再生支援スキームの検討を進めた結果、平成17年度政府予算において「農業分野における事業再生支援スキーム」が決定し、JAバンクも本スキームを活用し、経営不振農業者の整理承継、または再生支援に取組むこととしました。
(5) JAバンクシステムの下で、適切な自己査定・償却引当の実施やディスクロージャーの充実等経営の健全性確保や収益性のなお一層の向上に努めます。
金融検査マニュアルの見直しを踏まえた自己査定要領(例)、償却・引当基準の見直し等を行いました。
また、半期開示については、再生法開示債権、自己資本比率等の項目について、16年上期からの開示に取組みました。
2. 個別取組内容における取組状況
(1)中核的担い手に対する融資・相談機能の整備・強化
取組内容 |
これまでの取組状況 |
農業法人や一定規模以上の認定農業者など、中核的担い手のニーズに的確に対応するため、JAバンク全体として、融資・相談機能の一層の整備・強化を進めます。
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17年3月、「JAバンク担い手金融強化に向けた取組み」を組織決定し、担い手に対する融資・相談機能の一層の強化に向け、現在、(1)経営コンサルティング機能の充実、(2)農業法人向け新資金「アグリビジネスローン」の推進、(3)アグリビジネス投資育成(株)の出資の積極的活用等を進めています。
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- 関係機関との十分な連携の下で、JAの窓口において、農業経営改善関係資金(農業近代化資金、農林公庫資金、農業改良資金)の一元化対応を徹底します。(継続実施)
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- 平成16年4月のJAに対する農業経営関係改善資金の取扱いの実態についてのアンケート結果を踏まえ、JAの対応状況、農林公庫や行政機関等との連携状況等について現地調査を実施しました。これらを踏まえ、改めて一元化対応の徹底を進めています。
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- JAバンクの審査・保証・後方事務・回収業務等を担う全国ローンインフラの自動審査機能等を活用することにより、JAの迅速かつ的確な融資・審査体制を構築します。(16年度以降実施)
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- 現在、JAの迅速かつ的確な融資・審査体制の構築のため、スコアリングモデル等を活用した新しい融資商品の検討を進めています。
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- 一定水準以上の農業融資を行うJAで、営農指導事業・経済事業と連携した「農業融資相談員」の設置を行うなど融資・相談体制を確立します。また、「農業融資の手引」等の活用により融資対応力・審査レベルの向上を図ります。(継続実施)
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- 17年4月以降、JAバンク内で担い手金融の窓口の明確化、緊密な情報交換・連携を行っていくため、新たに「担い手金融リーダー制度」を立上げ、JA・信連・農林中金に担い手向け金融の実務のリーダー(担い手金融リーダー)を設置することで進めています。農業融資相談員制度は本制度に移行しました。現在29県域で626人の担い手金融リーダーを設置しており、全県域で設置することで進めています。
また、「農業融資の手引」に加え、融資審査補助ツールとして、農林中金が使用している「財務格付算出ソフト」をJA・信連に対して提供し、融資対応力・審査レベルを図っています。
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- 県域における農業融資相談員担当部署の設置や、全国の研修体制、関係団体との連携体制の整備など、県域・全国のサポート体制を構築します。(継続実施)
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- 全国段階の農業金融推進リーダー研修会については、16年度は1回(16年7月)、17年度は現在まで2回(16年7月、10月)開催しました。また、各県で開催された研修会については、農林中金から講師の派遣を行っています。
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(2)JA単独対応が困難な農業法人等に対する融資体制の整備
取組内容 |
これまでの取組状況 |
県内農業法人等に対する融資方針等を策定し、JA単独対応が困難な大・中規模農業法人等に対しては、信連・農林中金が直接融資を行っていく体制を整備します。(16年度以降実施)
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17年4月、農林中金にJAバンク担い手金融室を設置し、全国の農業法人等に直接融資を行う体制を整備しました。また、信連においても、農業融資の担当部署を設置するなど逐次体制整備を進めています。
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(3)農業金融機能の一層の強化のための施策
取組内容 |
これまでの取組状況 |
JAバンク全国本部において、農業者の資金ニーズに応え得る資金メニューの整備を行います。
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- 農業近代化資金の条件改定・利便性向上、負債整理資金の拡充を図ります。(継続実施)
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- 農業近代化資金の利用限度額の引上げや資金使途の拡大について制度の改正を要請しています。
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- アグリマイティ資金の見直し(農業法人向け資金内容の充実、第二種兼業農家向けの積極的活用)を行います。(15年度下期実施)
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- 「過度に担保・保証に依存しない運転資金等」を低利率で提供するため、17年4月、農林中金で農業法人向けの新資金「アグリビジネスローン」を創設しました。また、県域においても新資金の創設を進めています。
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- アグリビジネス投資育成(株)の積極的活用、農林公庫等公的機関と連携強化のための対策を検討・実施します。(継続実施)
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- 平成17年9月末現在、アグリビジネス投資育成(株)は、契約ベースで28件約7億円の投資実績(決定ベースでは35件約10億円)をあげています。今後、担い手向け金融対応の強化や農業分野における事業再生スキームにおいて、農林公庫と連携し、アグリビジネス投資育成(株)の出資を積極的に活用していきます。
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(4)経営不振層に対する再生支援
取組内容 |
これまでの取組状況 |
- 負債整理関係資金(農業経営負担軽減支援資金、農林公庫資金)の基本要綱に定める取扱手続きのもと、行政を含めた関係機関と十分連携し、経営改善計画をベースとした資金対応をしつつ農業者の経営改善化を図ります。(継続実施)
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- 円滑な制度運営のもと、JAバンクでは、農業経営負担軽減資金について、平成16年度は206件・約32億円、平成17年度は17年9月末現在で26件・197百万円を対応し、経営不振層の再生を支援しています。
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- また,県域を主体に、県内の経営不振層の実態把握を行うとともに、営農指導・経済事業と連携した、再生支援策の策定およびそのフォローアップを行うしくみを構築します。(16年度以降実施)
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- また、再生支援策の策定とフォローアップのしくみの構築について、農水省および農林公庫と「農業分野における事業再生支援スキーム」の具体的検討を進めた結果、平成17年度政府予算において「農業分野における事業再生支援スキーム」が決定し、JAバンクも本スキームを主体的に活用し、経営不振農業者の整理承継、または再生支援に取り組むこととしました。17年10月本スキーム活用のために必要不可欠な「農業再生委員会」の第1号が北海道で設置され、現在、他県域において当委員会が円滑に立ち上がるよう関係機関に働きかけています。
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(5)適切な自己査定・償却引当の実施
取組内容 |
これまでの取組状況 |
- 金融検査マニュアルの見直しを踏まえた自己査定要領(例)、償却・引当基準の見直しを行います。
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- 金融検査マニュアルの見直しを踏まえた自己査定要領(例)、償却・引当基準の見直しを行いました。
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- また、金融再生法開示債権の保全状況の開示について、金融再生法基準を盛り込んだ自己査定手続きの改正を行い、平成16年3月決算期から開示を実施するよう取組みます。
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- 金融再生法開示債権の保全状況の開示充実の観点から自己査定手続きの改正を行い、16年3月期からの開示に取組みました。
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(6)ディスクロージャーの充実
取組内容 |
これまでの取組状況 |
- 半期開示について、JAバンクとして開示例を作成し、平成16年上期から開示を実施するよう取組みます。
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- 半期開示項目(金融再生法債権区分額・自己資本比率・主要残高)を開示例とともに示し、16年上期からの開示に取組みました。
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- また、地域貢献情報の開示についてもJAバンクとしての開示例を15年度中に作成し、平成15年度のディスクロージャー誌で開示を実施するよう取組みます。
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- 地域貢献情報として、地域からの資金調達の状況、地域への資金供給の状況、文化的・社会的貢献に関する事項の開示に取組みました。
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平成17年12月2日